【西大寺】お寺の見どころ6選!忙しい方におすすめの駅近くの平静とは?

奈良編
本ページはプロモーションが含まれています

休日にお寺へ拝観に行きたいけれど、乗り換えや移動が大変だと思う時ってありますよね。

「短い時間で国宝を心行くまで拝観したい」

「交通の便は良いけれど、観光名所のお寺はたくさん人がいて疲れる」

そんな忙しくて時間が取れない方に、今回は真言律宗の総本山 西大寺の由緒や境内の様子、見どころを六つご紹介します。

西大寺は、なんと駅から徒歩3分!

休日でもゆっくり拝観でき、急坂もありません。

寺に流れる1250年以上に及ぶ悠久の歴史は、何か大きなものに守られているような、安堵感や心の平静を与えてくれます。

強固な意志を持った偉大な人物の心にも触れて、穏やかな日々を送れると良いですね。

西大寺はもちろん、法華寺や秋篠寺などの周辺寺院の見どころを紹介した本(770円)です。グルメやお土産についての情報も満載です。
隔週刊 古寺行こう (33) 西大寺・秋篠寺・法華寺

真言律宗総本山 西大寺

由緒

天平宝字8年(764)に鎮護国家と平和祈願のため、称徳天皇が金銅四天王像の造立を発願されたことに始まります。

東京ディズニーランドと同じ広さの敷地内に五重塔が立ち並ぶなど、創建当時は立派で華やかな大伽藍でした。

しかし、平安時代に幾度となく災害に遭い、西大寺は衰退の一途を辿ります。

                710年に遷都された広大な平城京の敷地内に、西大寺も含まれていました。

    

そのまま寂れてしまうかと思いきや、後に西大寺にとって重要なキーパーソンが登場します。

 
興正菩薩叡尊上人
(1201~1290)
鎌倉時代に衰退していた西大寺を再興し、真言律宗の根本道場として、伽藍を整備した重要人物です。
戒律の教えを最も尊重し、救貧施療などの宗教活動も行いました。
室町時代に兵火によって多くの塔を失いましたが、叡尊上人の法燈は今日まで受け継がれています。
筆者
筆者

もし叡尊上人が現代に生きていたら、日本は変わっていたでしょうね」と、受付の方がおっしゃっていました。

本当に偉大な人物だったのでしょうね。

ちなみに、奈良県の真言律宗のお寺は、西大寺のほかにも宝山寺・元興寺・福智院など数多く存在しています。

西大寺石楽神社本殿(奈良市指定文化財)                   

西大寺に入る前に立ち寄って欲しい場所があります。それは東門前にある、石楽神社です。

叡尊上人は石落神から薬の製法を授かり、多くの人々を救い、この辺りに石落神を祭ったと言われています

華美な装飾もなく、こぢんまりとしているため、事前に調べておかないと見落としがちな神社です。



見どころ

四王堂

西大寺で最初に建てられた、創建当時の由緒を伝える唯一のお堂です。

ご本尊・・約6メートルもある、藤原彫刻の優美なお顔立ちが特徴的な十一面観音菩薩像。

その他、四天王立像及び邪鬼、行基菩薩像や道鏡禅師像、世界最古の印刷物・百万塔陀羅尼などが安置されています。

ご本尊の圧倒的なお姿に、人間がいかにちっぽけな存在かを思い知らされます。同時に、大きな慈悲に守られているような、絶対的な安心も感じられる観音様です。

堂内に椅子が用意されているのですが、観音様をしばらく見上げている方もいらっしゃいました。

観音様の両脇には、四天王立像と創建当時に造られた邪気の像があります足で踏みつけられている邪気の、苦痛に満ちた表情が印象的でした。

筆者
筆者

園児の楽しそうな歌声が、四王堂内まで響いてきますよ。

本堂

重要文化財 宝暦2年(1752)建立。

300個の金銅透彫舎利塔の光が、幻想的なゆらめきを演出しているお堂です

本尊・・釈迦如来立像。興正菩薩の発願によって、京都嵯峨野清涼寺の釈迦如来像を摸刻した像。

他にも、興正菩薩の13回忌に遺弟たちによって作られた、文殊菩薩騎獅及四侍者像や弥勒菩薩座像が安置されています。

優しく慈悲深い表情の仏様と、金銅透彫舎利塔の幻想的な光に包まれた堂内でした。まるで自分が極楽浄土にいるかのような気持ちになり、心が安らぎます。

床は光が反射するほどピカピカですが、受付の方曰く、なんと松脂のワックス効果だとか。

お寺の方が毎朝丁寧に磨いていると思っていましたが、江戸時代の松脂が今でも床をピカピカにしているとは驚きですよね。

本堂には、大茶盛会の茶碗が展示されているほか、写経ができるスペースもあります。

ちなみに風が吹いてお堂が揺れると、今でも江戸時代の埃が落ちてくるよ。

愛染堂

縁結びの仏様、愛染明王と西大寺を再興した興正菩薩叡尊上人が安置されているお堂です。

ご本尊・・愛染明王坐像。真紅の彩色と両眼を見開いた顔が、見る人の心に焼き付く小像です。

他にも、興正菩薩叡尊座像(国宝)や黒漆彩色華形大壇などが安置されています。

ご本尊の愛染明王は秘仏であり、御開帳日は毎年1月から2月4日と10月25日から11月15日となっています。

普段拝観できるのは、模刻された愛染明王です。心を見透かされてしまいそうなほど気迫に満ちた表情で、模刻でも十分見る価値はありますよ。

お堂の向かって左側にいらっしゃるのは、愛染明王を念持仏とされている興正菩薩叡尊座像です。

お寺の人曰く、「叡尊上人の像は魂が入っている。簡単には動かせない。」とおっしゃっていました。

人間の肖像であるせいか、仏像と違ってとても身近に感じられます。偶然居合わせた方は、叡尊上人の像の前で泣いていました。何か感じるものがあったのでしょうね。

まるで生きてそこにいらっしゃるかのような感覚を覚えます威厳に満ちた尊大な人格をぜひ感じてください。

筆者
筆者

実は、筆者も泣いてしまいました。亡くなった祖父にとても似ていたからです。

お寺の人も「親しい人物を思い出す方は多い」とおっしゃっていました。

聚宝館

西大寺の国宝、重要文化財など多くの寺宝を収蔵しています。

主な什宝物は、金剛宝塔(壇塔)、吉祥天立像、大黒天立像、塔本四仏坐像などです。

聚宝館は公開が限定されており、1月15日~2月4日、4月20日~5月10日、10月25日~11月15日となっています。

小さなお堂ですが、ここでしか見られないような仏像がずらりと並んでいます。

境内の花

西大寺の境内にはさまざまな花が咲いており、訪れる人の心を和ませてくれます。

季節の訪れを感じながら、ゆっくりと拝観されてはいかがでしょうか。

番外編 奥の院(法界躰性院)

本堂から600メートルほど西に離れた場所にあり、駅からも遠いため、こちらは番外編として紹介いたします。

お時間がある際に立ち寄って欲しいのが、叡尊上人のお墓がある奥の院(法界躰性院)です。

石造五輪塔と呼ばれる、鎌倉時代の一丈一尺に及ぶ立派な石塔あります。これが叡尊上人のお墓です。

とても700年以上経っているとは思えないほど状態が良く、大切に守られてきたことが伺えました。

その他の境内の様子

東門・四王堂付近

近鉄 大和西大寺駅から最も近い入り口が写真にある東門です。

大茶盛会のお知らせの案内板などがかけられている時もあり、非常に分かりやすい場所にあります。

門前は交通量が多いので、気を付けて渡ってください。

門をくぐって右側にあるのが、境内案内図です。

すぐ近くに大型商業施設や百貨店があるとは思えないほど、しんとした空気に包まれていました。明らかに外とは別世界です。

境内全体が、どっしりと落ちついた雰囲気を醸し出していました。

案内図と反対側には、西大寺が平城宮から北西に位置することから、北方の守り神である玄武の石碑が建てられています。

石碑の横には椅子と池があります。境内で休める場所はここだけなので、まずは一休みするのも良いでしょう。池には亀がのんびり泳いでおり、夏場は涼しくて特に気持ちが良いですよ。

四王堂の西側には、西大寺学園が運営している幼稚園があります。

筆者
筆者

偶然境内にいる園児を見かけましたが、先生はすごく熱の入った指導で、さすが仏教系の幼稚園だなあと思いました。

思い込みじゃないですか?

ちなみに、この幼稚園にはkinki kindsの堂本剛氏も通っていました。

本堂付近

西大寺護摩堂

                                聚宝館西側にあります。寛永元年(1624年)に建立された、小規模でありながらも上質なお堂です。

普段から少しだけお堂の扉が開いており、中にいらっしゃる不動明王が拝めます。

暗いので筆者は毎回しっかりお顔を拝見できていませんが、手を合わせるだけで安らいだ気持ちになれますよ。

写真左・・磯野充伯さんの歌碑『大茶会 一口めして 皆なごむ』

写真中央・・手水舎。写真奥にトイレがあります。

写真右・・手水舎のかっこいい龍。以前はお手拭き用に、西大寺オリジナル手ぬぐいが下がっていました。現在は(2022年6月1日)は見当たりませんでした。

東塔跡

天平神護元年(765)、東西に八角七重の大塔を企画し、高さ十五丈(約46メートル)の五重塔が東西に建立されました。

雷火や兵火により焼失し、現在は基壇や敷石のみが残っている状態です。

かつて、西大寺にゆかりのある市川海老蔵氏(現 市川團十郎)氏が、東塔跡で歌舞伎の公演をしていました。このような由緒ある場所が舞台だったら、さぞかし演技も映えたでしょうね。

筆者
筆者

どっしりとした基壇を見る限り、立派な五重塔だったのでしょうね。

上に登ってみたいなと思いました。

ダメダメ~!東塔跡内は立ち入り禁止ですよ。

愛染堂付近

大黒堂

愛染堂の北東に位置する、小さなお堂です。

永生元年(1504)に仏師仙算が造った大黒天倚像が安置されています。

護摩堂以上に堂内が見えづらかったのは残念ですが、何か惹かれるものを感じるお堂でした。

平和観音像・・愛染堂のすぐ南側にいらっしゃる真緑の観音様です。とにかく目立つ色をしているので、境内でもひと際目立っています。

鐘楼堂・・幕末または明治の初めに、摂津の多田院から移されたものです。寛永年間に建てられたせいか、下層部に少し朽ちた個所がありました。細部まで美しい鐘楼なので、なんとかきれいに修復できると良いですね。

大師堂・・大正12年に弘法大師石仏が奉納され、昭和48年に完成したお堂です。

まとめ

西大寺の由緒や境内の様子、見どころについて紹介しました。

主要駅の大和西大寺駅から近く、1時間ほどあればお堂をすべて拝観できるため、忙しい人にもおすすめのお寺です。

どうぞお寺でゆっくりと気持ちを休めてください。

心の平静を取り戻せれば、本来の自分が持つ力を発揮できて気持ちが楽になりますよ。

忙しい方の心に、真の安らぎが訪れると良いですね。

アクセス近鉄大和西大寺駅 南口より徒歩3分
拝観料(本堂・四王堂・愛染堂 三堂共通拝観)個人 一般800円 中・高生600円 小学生400円 身障者400円
団体 一般700円 中・高生500円 小学生350円
※団体は30人以上
駐車場普通車:1時間300円(その後1時間超過ごとに200円)
マイクロバス:600円
バス:1,000円
拝観時間本堂8:30~16:30
愛染堂8:30~16:30
四王堂8:30~16:30
拝観受付は16:00まで
住所奈良市西大寺芝町1丁目1-5
TEL0742-45-4700
ホームページhttp://saidaiji.or.jp/
耳寄り情報

年間で2回以上西大寺に拝観される方は、年会費2000円で友の会に入会されるとお得です!
加入すると、四つのお堂に拝観できる優待券(1年間有効)がいただけるほか、新春大茶盛式招待などの特典があります。