唐招提寺の仏像が織り成す神秘の世界に酔いしれてみませんか

奈良編
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奈良県奈良市にある、世界遺産・唐招提寺。ここは、中国・唐代の高僧である鑑真が、失明してまで日本に渡って完成させた美しいお寺です。

そんな苦労が仏像にも滲み出ているのか、境内に一歩足を踏み入れると、御仏は訪れる者の心を優しく包み込んでくださいます。

慈愛に満ちた力で神秘の世界へと誘い、私たちを酔いしれさせてくれる存在です。今回は、そんな唐招提寺の仏像の魅力についてご紹介します。

仏像の解体修理の様子など、唐招提寺の魅力を余すことなく紹介した一冊。拝観前の予備知識としていかがでしょうか。↓
隔週刊 古寺行こう(10) 唐招提寺 2022年 7/19 号

仏教を広めるために来日した鑑真!唐招提寺の由緒

正式名称 律宗総本山・唐招提寺
創建年月日 天平宝字3年(759)8月3
創立者 唐僧・鑑真和上
宗派 律宗
ご本尊 廬舎那仏
ご利益 開運招福全般・学業成就・災難除けなど
世界遺産登録日 1998年(平成10年)12月

歴史
688年に中国揚州に生まれた鑑真和上。長安や洛陽で学問を学び、戒律の師僧として名高い人物でした。

天平5年(733)、日本から栄叡と普照が鑑真の元に来て、来日を嘆願。鑑真はこれを承諾します。
重なる航海の失敗の末、鑑真は失明。6度目の航海でようやく日本にたどり着いたのです。

かくて鑑真は、東大寺大仏殿に戒壇を築き、戒を授けます。日本初の正式授戒です。

天平宝字3年(759)8月、新田部親王の旧宅地を賜り、戒律の専修道場とされました。
これが、唐招提寺の始まりです。



金堂の仏像群!宇宙を表現した廬舎那仏は必見

深い慈悲を感じるご本尊・廬舎那仏座像

引用元:唐招提寺パンフレットより
(以下、仏像の画像すべてパンフレットより引用)

国宝・ご本尊

造像時期 奈良時代(8世紀)
像高 3m4~5cm 
台座全高 2m余
光背高さ 5m15cm  
光背の化仏の数 862体(本来は1000体であったといわれています。)
手法 脱活乾漆 漆箔

廬舎那仏が安置されている金堂

膝辺りの衣にみられる表現方法など、鑑真がいた唐の特色がみられる仏像です。他の天平時代の仏像とは少し違った印象があります。

廬舎那仏は、宇宙そのものを表しているといわれているのをご存じでしょうか。

確かに、その大きさと重厚感を目の当たりにすると、大宇宙が目の前に広がっているかのような気持ちになってきます。

廬舎那仏の御朱印

人智を超えた大きな力で、底から救い上げて助けてくださるような仏像です。絶対的な安心感がそこにはあります。

さすがはご本尊といったところでしょうか。

1000本の手で護ってくださるかのような千手観音菩薩立像

国宝
像高 5m36cm
大脇手42本・小脇手911本(合計953本、元は1000本)
造像時期 奈良時代(8世紀)
手法 木心乾漆 漆箔

千手観音の御朱印

本体に1000本すべての手をとりつけていながらも、不自然さが一切なく、全体のバランスが見事な千手観音。あまりの美しさに酔いしれてしまう方もいるかもしれません。

1000本の手で訪れる者を優しく包み込んでくださるかのような気持ちになり、とても心が安らぎます。

すべてを見通しているかのような穏やかな表情にも、注目してみてください。

千手観音の作者がいかに優れた仏師であるかが、想像できるかと思います。

病気の仏様・薬師如来立像

国宝
像高 3m36cm
造像時期 平安時代(9世紀)
手法 木心乾漆 漆箔

昭和47年2月、修理の際に左手掌のくぼみから3枚の古銭(和同開珎・隆平永宝・万年通宝)が発見されました。

掌に小銭が収められていた仏像は、非常に珍しいと言わざるを得ません。

病気平癒のご利益がある薬師如来だけに、弱い部分を見抜いて癒してくださるような存在です。

疲れやストレスを感じている方は、ぜひ、薬師如来の前に行って、安らぎの力をいただいてくださいね。

強さの中に優しさを感じる仏像!四天王立像

持国天立像

国宝 
像高 
持国天
 1m85cm
増長天 1m87cm
広目天 1m86cm
多聞天 1m88cm
造像時期 奈良時代(8世紀)
手法 木造・乾漆併用 彩色

四天王は、仏教界を護る御法神といわれています。

静かな表情の中に強さを感じる、広目天と多聞天。魔物を威嚇し、追い払う構えを見せる持国天と増長天。静と動のバランスが見事にとれた仏像群といえるのではないでしょうか。

特に、剣を持ち怖い表情をしている持国天は、見ているだけでドキッとしてしまいます。

しかし、ジッと見つめていると内に秘めた真の優しさが感じられ、引き込まれるような魅力もあるから不思議ですよね。

穏やかな表情が印象的な梵天と帝釈天

帝釈天

国宝 
像高 1m86~88cm
造像年代 奈良時代(8世紀)
手法 木造・乾漆併用 彩色

全体の彩色は消えてしまっていますが、木彫りで堅固な仕上げとなっているため、保存状態は良いといえるでしょう。

台座・反花の上には、有名な劇画が描かれています。

梵天・帝釈天両方とも穏やかな表情をしており、優しくも強さを感じる仏様です。

解体修理中の弥勒菩薩は必見!

重要文化財 
像高 2m84cm
造像年代 鎌倉時代
手法 木造・寄木造り

弥勒菩薩が安置されている講堂

講堂には、現在弥勒菩薩だけが安置されています。しかも、今は弥勒菩薩の解体修理中です。(2023.12.14現在)

普段は台座の上から見下ろすような形ですが、今は弥勒菩薩と同じ目線に立って拝観ができます。

神聖な弥勒菩薩をより身近な存在として感じられるチャンスなので、ぜひこの機会に足を運んでみてください。

特に、なめらかな指一本一歩の動きなど、あまりの美しさにうっとりすること間違いなしです。

脇侍 持国天・増長天 国宝 
造像年代 奈良時代(8世紀)
手法 木造

開山堂 鑑真の影

鑑真和上御身代わり像
造像年 2013年
手法 脱活乾漆技法を踏襲

元々は、徳川家歴代の御霊殿として建立された御影堂。今日では、限られた日数のみでしか開扉しない国宝の鑑真和上に代わって、御身代わり像が安置されています。

像は、廬舎那仏の修理時に得られた知見を活かしつつ、奈良時代の技法を用いて制作されたものです。

幾多の困難を乗り越えて、日本に戒律を広めた鑑真。

その身代わり像を前にすると、自然に感謝の気持ちがわいてきて、思わずお礼をいいたくなってしまいます。

新宝物館の仏像は必見!欠損しているからこそ美しい?!

如来形立像 重要文化財
造像年代 奈良時代(8世紀)
手法 木心乾漆 漆箔

薬師如来立像 国宝
造像年代 奈良時代(8世紀)
手法 木造  
など

立体感がある薬師如来立像や、不空羂索観音として造られた獅子吼菩薩立像など、寺のお宝が所狭しと収められている場所です。

新宝蔵館の仏像の多くは、手や頭部が欠損した状態で展示されています。

特に人気があって個人的にもおすすめの仏像は、『東洋のトルソー』・如来形立像です。

完全ではない・どこか欠損しているからこそ美しい、そう感じてしまうのは私だけでしょうか。完璧ではないところが人間らしく、金堂や講堂の仏像よりも親近感を持ってしまいました。

普段は拝観できないそのほかの仏像

国宝!御影堂の鑑真和上座像

鑑真和上座像 国宝
造像年代 奈良時代(8世紀)
像高 80.1cm
手法 脱活乾漆 彩色
製作者 忍基

鑑真和上の御朱印
僧の受戒が行われた戒壇
鑑真和上の墓所
松尾芭蕉の歌碑

今でも所々に彩色が残っている、天平時代を代表する傑作です。

この像を目にした松尾芭蕉は、『若葉して おん目のしずく ぬぐはばや』の俳句を残しています。失明してもなお、日本を目指し仏教を広めた鑑真。その鑑真を称えた一句です。

鑑真和上座像は、毎年、6月5・6・7日のみに開帳されます。

通常非公開の経蔵の文殊菩薩

文殊菩薩 従者(善財童子・優でん王・仏陀波利・最勝老人)
造像年代 北朝時代(14世紀)
手法 寄木造 

獅子に乗った文殊菩薩と、4人の従者(善財童子・優でん王・仏陀波利・最勝老人)からなる像です。

中国から日本に仏教を伝えに来た姿だといわれています。 

全体的に彩色・切金がよく残っている像です。残念ながら通常は非公開となっています。

蚊も殺さない!中興堂の覚成上人座像

覚成上人座像 重要文化財
造像年 室町時代(1395年)
手法 木造 彩色
製作者 成慶

壮年期の覚成上人の姿をとらえたとされる像です。

戒律に厳しく、殺生を好まない覚成上人の人柄がよく表れているといわれています。

不殺生を堅持した上人を称えた行事が、毎年5月19日に行われる中興忌梵網会(通称うちわまき)です。

繊細で美しい仏像・礼堂の釈迦如来立像

重要文化財 
造像年 正嘉2年(1258)
像高 約1m66cm
手法 木造 厨子入

厨子に安置されている像で、縄状の髪や袈裟を通肩にまとって立っている、いわゆる清水寺式の釈迦像です。

像内からは、100余通の結縁文書が発見され、1万人の僧俗によって造立されたことがわかりました。

袈裟の繊細な線が美しい仏像です。

まとめ

唐招提寺境内には、高僧・鑑真の苦労が息づいており、仏像は訪れる者を優しく迎えてくれます。

御仏と心を通わせることは、まるで科学を超えた、言葉のない世界と対話しているかのようです。

仏像の織り成す神秘の世界に、あなたも酔いしれてみませんか?仏像の世界観が、気付きをもたらし、新たな心の扉を開いてくれるかもしれません。

唐招提寺・国宝金堂の謎に迫る興奮と感動!壮大ドキュメンタリー↓

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主な行事

5月19日中興忌梵網会(うちわまき)高僧・覚盛上人が蚊を叩こうとした弟子に、不殺生を守りなさいと諭したことから、その徳を称えた行事。
6月5・6・7日・開山忌舎利会
・国宝鑑真和上坐像特別開帳
鑑真和上の命日に合わせて行われる法要。それにあわせて、国宝・鑑真和上坐像が特別開扉されます。

宗総本山 唐招提寺
住所:〒630-8032 奈良市五条町13-46
TEL:0742-33-7900
FAX:0742-33-5266
ホームページ:http://www.toshodaiji.jp/
拝観時間:08:30~17:00 (入館は16:30迄)

拝観料
個人
大人・大学生 1000円
高校生・中学生 400円
小学生 200円
団体(30名以上)
大人・大学生 800円
高校生・中学生 320円
小学生 160円
障がい者
半額(介添者1名まで半額)

国宝 鑑真和上坐像 特別公開
大人・大学生 500円
高校生・中学生 400円
小学生 300円
新宝蔵
大人・大学生 200円
高校生・中学生 100円
小学生 100円

電車の場合
最寄り駅:近鉄西ノ京駅 徒歩15分
バスの場合
奈良交通バス『唐招提寺』『唐招提寺東口』下車
自動車の場合
第二阪奈有料道路 宝来ランプから3km
西名阪自動車道 郡山ICから8km

駐車場:あり

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